英単語研究:『名前』
英単語研究:『名前』
こんにちは!今週の「英単語研究」の時間です。超基本英単語「名前(name)」についてお届けします。
一見シンプルに見えるnameですが、ただの「名前」で覚えておくともったいない面白い英単語です。まずはこちらの英語検定3級の過去問をご覧ください。
Kelly and Bob had a baby boy last week. They ( ) him Alfred.(英語検定3級)
1 spent
2 told
3 picked
4 named
もちろん正解は4のnamedですが、動詞形のname(名前をつける)が中学校卒業レベルの英語検定3級に出題されていることが不思議なのです。名詞形の意味である「名前」はA1レベルですが、動詞形の「名前をつける」はB1レベルなので本来は英語検定2級レベルの問題であるべきということを突っ込みたいところです。次に上智大学に出題されたこちらの問題を見てみましょう。
Books that are anonymous do not mention the ( ) of the authors.(上智大学)
1 publisher
2 name
3 nationality
4 methodology
上智大学によく出る同義語を選択させる形式です。こういう問題は心臓がバクバクになるほどワクワクしますよね。この流れなのでもちろん正解は2 nameですが、anonymous(匿名の)も実は同語源なんです。語源分析してみるとano(否定)+nym(名前)+ous(形容詞)なので名前がないことから「匿名の」と解釈できます。
nameを動詞形で使うこと、nameがanonymousに派生することが理解できましたでしょうか?nameに関連した単語のsurnameの意味は「名字」で、語源はsur(上)とname(名前)に由来し、同義語(synonym)はlast nameとfamily nameです。nameと同語源の英単語は他にも文法用語のnoun「名詞」やpronoun「代名詞」、そしてsyn(同じ)+onyma(名前)のsynonym(同義語)、anti(反対)+onym(名前)のantonym(対義語)があります。acronym(頭字語)も語源分析してみるとacro(頂点)とonym(名前)が隠れています。
他にもnominate(指名する)、nominal(名目上の)、renown(名声)などどの英単語にも漢字の「名」が使われているので納得できます。そして現在大学の授業で音声学を教えているのですが、ちょうど今課題の提出ラッシュです。そんな課題の中に「オノマトペ」の研究にしたチームがいます。この日本語のオノマトペ(擬声語)はギリシャ語に由来し、英語onomatopoeiaの語源は「名前を作る」という語源です。
皆さんの英語学習における目的は何でしょう?学校のテストで良い点を取る、海外留学する、IELTSを受験するという表面的な(superficial)目的ではなく、より本質的な(essential)目的を特定し常にそれを意識することが大切です。なぜ英語なのか?いつまでにどの程度?どうやって学習するのか?これらの問いに対して誰かの指示ではなく自分の本心で回答できるようになることが成功する英語学習の第一歩です!この機会になぜ「英語」を学習するのか?を再検討してみましょう!
「名前」の英単語
上記で述べたようにnameから約20単語の低頻出語彙に派生できます。nameはただの名前ではなく「匿名」や「オノマトペ」に繋がる深い英単語であることを覚えておきましょう!実はこの奥が深い「名前(name)」を、新著『ビジュアルで覚えるIELTS基本英単語(ジャパンタイムズ出版)』では一番最初の見出し語にしています。その理由はIELTSのスピーキングでは必ず名前について尋ねられる欠かせない英単語であるためです。a common name (ありふれた名前)やgive a bad name(汚名を着せる)の基本的なコロケーションと共に、My family name was dragged through the mud.「私の家名を汚された。」という少しオシャレな表現も載せました。もちろん今回の英語検定3級で使われた「名付ける」という意味での例文The baby was named after his father.「その赤ちゃんは父親の名前にちなんで命名された。」も受動態の形式で掲載しています。
ちなみに巷ではネイティブスピーカー(英語母語話者)はmy name is …は使わないと言われていますが、実際には使います。それよりも初対面の人にWhat’s your name?は上から目線に感じるのでMay I have your name, please?などに言い換えましょう!